薬物使用者数が過去最多に

執筆者 | 2026年06月29日 | GNVニュース, 世界, 経済・貧困

GNVニュース 2026628

2026626日に国連薬物犯罪事務所(UNODC)が発表した「世界薬物報告書2026」によれば、2024年に薬物を使用した人は世界で約33,100万人にのぼり、過去最多となった。1564歳人口の6.2%を占めており、2014年の5.2%から大きく上昇している。中でも北米を起点とした地域間取引が急速に国際化した大麻は過去10年間で使用者数が40%増加しており、2024年の利用者は25600万人に達した。続いてオピオイド(6300万人)、アンフェタミン(3200万人)、コカイン(2500万人)、エクスタシー(2100万人)の順となっている。

これらの伝統的な薬物カテゴリーの中では、新しい物質が次々と登場している。2024年には755種類の新規精神活性物質が確認され、押収薬物の種類は2000年以前と比べて5倍に増えた。使用者数が2番目に多いオピオイド系では、フェンタニル類やニタゼン類といった新しい合成オピオイドが台頭している。

使用者数の増加や新規物質登場の背景には、薬物の生産・流通構造そのものの変化が存在する。抑制系のオピオイド市場では、最大の原料であるアヘンの栽培をアフガニスタンが2022年に禁止した影響でヘロイン生産が大幅に縮小し、ミャンマーなど他国の増産分では穴を埋められていない。この生産縮小が、合成オピオイドへの依存度を高める一因となっており、従来のヘロインより強力な薬物が広がる懸念が強まっている。また、使用者数が3番目に多い興奮系のアンフェタミン市場で使用されているメタンフェタミンについては、北米産の製品が太平洋を越えて西太平洋沿岸へ移動する過程で太平洋諸島での密売・使用拡大を招いている。さらにアンフェタミン系の一種であるカプタゴンの主要な生産・密売地とされるシリアにおいて、202412月に旧バッシャール・アル=アサド政権が崩壊し、カプタゴンの市場が混乱したことで、中東地域でのメタンフェタミン使用が増加しており、カプタゴン使用者がメタンフェタミンへ移行している可能性が指摘されている。

こうした薬物の害は、貧困や医療サービスへのアクセス不足など社会的要因にも左右され、とりわけ女性や若者、紛争による避難民の脆弱性も指摘されている。複雑な薬物市場を前に、国際協力が求められている。

 

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押収されたフェンタニルとコカイン(写真:Province of British Columbia / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])

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