ロシア放送局の動画掲載は違法、EU最高裁判決

執筆者 | 2026年07月8日 | GNVニュース, 報道・言論, 法・人権

ヨーロッパ連合(EU)の最高裁判所は2026年6月2日、無料の個人ブログにロシアの放送局の動画を転載することは違法であるとの判決を下した。ブログはわずか3人の個人によって運営され、商業目的ではないにもかかわらず、最高裁はロシアに科している経済制裁措置に違反すると認定した。これに対して、「経済制裁を盾にとった裏口からの検閲」「言論の自由の封じ込めだ」と厳しい批判の声が上がっている。

EUは2022年のロシアによるウクライナ侵攻後、ロシアの「プロパガンダ発信者」によるコンテンツの放送を禁止している。今回、問題になったのは、ドイツの独立系ブログ「トラウゴット・イッケロス」。読者の寄付のみで運営し、2023年に3回、ロシア政府が資金提供する放送局「RT」の動画を共有した。ドイツの地方裁判所は、これが制裁違反に当たるかどうか、EU最高裁に裁定をゆだねていた。

最高裁の判決は、運営者がだれか、商業目的かどうかを問わず、ロシアのメディアが発信した動画を使用したことを問題視した。このため市民が一般公開しているウェブサイトでも同様の動画を共有しただけで刑事訴追されるとの危機感が広がっている。

もっともヨーロッパで言論活動が制裁対象となったのは、トルコ系ドイツ人の映画監督、フセイン・ドグル氏が最初である。2025年のEUの公表文書によると、ドグル氏はロシアの国営放送と結びつき「ハマスなどのイスラム過激派テロ組織の主張を拡散するなど、虚偽情報を組織的に流布してきた」と非難された。ドグル氏は自身の銀行口座からの現金引き出しも制限された。

さらにアメリカでも言論を封じる動きがある。ドナルド・トランプ政権は2025年、イスラエル政府と取引する企業を批判する報告書をまとめた国連人権委員会の特別報告者、フランチェスカ・アルバネーゼ氏に制裁を科した。アメリカ財務省はアルバネーゼ氏の資産を差し押さえ、世界銀行エコノミストの夫が加入する保険からも同氏を排除した。2026年5月、連邦裁判所は合衆国憲法修正第1条を根拠に制裁の仮差し止めを命じたが、控訴裁判所は1週間後、この決定を覆し、再び制裁を科すことを認めた。

経済制裁違反と認定したり、制裁を科したりし、批判的な声を封じ込め、沈黙させようとする動きは国、地域を超えて広がっている。

ロシアと欧米の「情報戦」についてもっと知る→「偽情報対策産業

欧州司法裁判所の他の判決についてもっと知る→「欧州司法裁判所、西サハラの自治権を認める裁定

欧州司法裁判所、ルクセンブルク(写真:katarina_dzurekova / Flickr [CC BY 2.0])

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