慈善の仮面:有名人と影に隠された結核

執筆者 | 2025年11月15日 | ICHIMAI World

この風刺画は1995年に描かれたもので、有名なカップルが慈善イベントに参加し、エイズ(後天性免疫不全症候群)についての意識を高め、資金を集める場面を描いている。しかし、低所得国の結核患者たち(ここでは「第三世界」と表現されている)を無視しているように見える。

この風刺画が描かれた頃、エイズは高所得国で大きな問題となり、貧困層や富裕層を問わず影響を及ぼした。高所得国の著名人も感染し、この病気で亡くなった。当時、治療法や有効な治療法はなかったため、高所得国でのエイズに対する関心が広がった。しかし、同時期に低所得国でみられた結核の感染者数の急増についてはほとんど関心が示されなかった。この増加はエイズの蔓延によって引き起こされ、エイズは体の免疫機能を低下させ、結核のような機会感染症の繁殖を助長する。

この漫画が描かれた30年後も、似たような状況が続いている。高所得国でのグローバルヘルス問題への関心は、主に自分たちに影響を与える問題に固定されている。しかし、高所得国ではほとんどメディアの注目を集めない結核により、現在も世界中で毎年120万人以上が、主に低所得国で命を落としている。

 

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(風刺画の作者:Joe Hoover。画像:Myotus / Wikimedia Commons [CC BY-SA 4.0])

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