モンゴルの氷河:史上最速で減少

執筆者 | 2026年02月15日 | GNVニュース, アジア, 環境

GNVニュース 2026年2月15日

モンゴルの氷河は、近年の急速な気温上昇の影響により、観測史上速度で減少が進んでいることが、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)が2026年2月2日に公表した資料で指摘された。モンゴルの平均気温は産業革命前と比べて約2.3度上昇しており、世界平均を上回る速度で温暖化が進行している。将来的には、今世紀末までに最大約8度の気温上昇が予測されており、特に氷河が集中する北部・西部地域への影響が懸念されている。

モンゴルの氷河は国内淡水資源の70%以上を支えているが、1940年以降、氷河体積は約28%減少している。1990年から2016年には氷河面積が35%減少し、現在は627の氷河が約334平方キロメートルに分布するのみとなっている。また、1980年代以降、63の湖と約683の河川が消失し、地下水も年間約3mmのペースで減少している。

こうした影響を受けやすい背景には、地理的条件がある。モンゴルは内陸国であり、年間降水量は平均約200mm前後と少なく、国土の多くは半乾燥から乾燥地域に属しており、もともと水資源が限られている。そのため、気温上昇や降水量の変化は、他国よりも水資源に直接的な影響を与えやすいと考えられている

また、モンゴルでは気候変動に伴い、自然災害の頻度も年々増加している。寒冷や大雪などにより家畜が大量死する冬季災害(ゾド)、洪水、干ばつなどの気候関連災害はこの30年以上で増加傾向にある。1989年から1998年には29件だった自然災害が、1999年から2008年には53件、直近10年間では約80件に増加した。2001年から2021年の間には、自然災害や極端気象により539人が死亡し、3,000万頭以上の家畜が失われ、約6,818億トゥグルグ(およそ1.9億米ドル)の経済損失が発生した。将来予測では、2050年までに干ばつは5〜45%、ゾドは5〜40%増加する可能性が指摘されている。

さらに近年、冬季の河川や湖の氷の安全性にも変化が見られる。氷の厚さが不均一になり、一部では薄くなる傾向が確認されている。関係機関は住民や牧民、運転手、旅行者に対し、氷上を通行せず、正式な道路や橋を利用するよう注意喚起している。従来、遊牧民は冬季に凍結した川や湖を渡って移動してきたが、近年は氷の不安定化により事故リスクが高まっている。

専門家は、水効率の高い農業技術の導入、再生可能エネルギーの拡大、氷河や河川データに基づく統合的水管理の必要性を指摘している。氷河減少は環境問題にとどまらず、経済や国家安全保障に関わる重要課題となっている。

モンゴルについてもっと知る→「GNV: #モンゴル

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アルタイ山脈タワン・ボグド山の斜面に位置するポターニン氷河(2012)(写真:Altaihunters / Wikimedia Commons [CC BY-SA 3.0])

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