ここはアフリカ大陸の西部、ギニア湾に面した国、ベナンの小学校である。
子どもたちがタンクの前に並んで手を洗っている。これから昼食の時間なのだ。奥にいる眼鏡をかけた長身の人はきっと先生で、子どもたちに何か渡しているように見受けられる。手を洗っているということは、石鹸だろうか。手前にいる数人の子どもたちのどこか煩わしそうな表情からは、お腹が空いて早く食べたいという心情が想像できる。彼らの昼食は、給食だろうか。それとも持ってきたお弁当だろうか。
ベナンは、貧困による深刻な食糧不足を抱えている。そのため、全ての公立小学校に給食という制度が整っているわけではない。給食がない学校では、昼食は自分で用意しなければならないが、その余裕がない家庭の子は昼食を食べることができないのである。そのような状況を改善するため、世界食糧計画(WFP:World Food Programme)などの組織が食事を提供するなどの活動を行っている。しかし、ベナンの抱える貧困を背景とした問題は食糧不足に止まらず、栄養失調やジェンダーの問題もある。
ベナンでのジェンダー問題について知る→「女性性器切除(FGM)の激減:その背景には?」
ベナンの文化について知る→「時代によって姿を変えるヴードゥー人形」
(写真:Chantal Rigaud(GPE) / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0] )