近年、「フェアトレード」という認証を受けた商品がいくつかの国の店頭に並ぶようになった。これは生産者にとって公平・公正な価格で生産・運搬された貿易であることを示している。フェアトレード商品が本当に「フェア」であるかという問題もあるが、そもそもこのような「フェアトレード」商品は世界中で行われている貿易のほんの一部であり、チョコレートやコーヒー、綿花など限られた売買品の、限られた量にすぎない。認証は受けず、公平・公正な価格で取引されている商品ももちろん少なくはないが、後述するように、依然としてアンフェアな貿易が多くを占めている。ではなぜアンフェアトレードが「アンフェア」なのか。この記事ではアンフェアな貿易の現状、背景、そしてフェアな社会に向けた取り組みについて見ていこう。

カカオ豆を収穫するコロンビアの男性(USAID U.S. Agency for International Development / Flickr [CC BY-NC 2.0])
フェアな貿易とは?
「フェア」な貿易・価格とはどのようなものだろうか。そもそも世界貿易は複雑なものである。例えば、1台のパソコンを消費者に届ける過程にも様々な貿易が行われている。まずは部品の材料集めだ。例えばコンゴ民主共和国からコバルト、チリからリチウムが採掘される。また、サウジアラビアで掘削された石油からプラスチックが作られる。そしてこれらの原料が別の国に集められ、部品が製造される。さらに、その部品を用いてまた別の国でパソコンとして組み立てられ、他国で待つ消費者のもとへ届けられる。また、使用後に廃棄されたものが、ゴミとしてさらに貿易取引されることもある。
このように今日の貿易は、多くの国が絡み合った複雑なものが全体の貿易の70%を占めており、各国が国内で生産した製品を国外の消費者に輸出するという単純な貿易は、わずか30%に過ぎない。こうして届けられた最終的な製品に消費者は料金を支払うが、そのお金が「どこの」「誰に」「どのように」分配されるかが問われる。
「フェア」な貿易については様々な捉え方がある。例えば社会における資源分配の在り方を考える「分配的正義」という哲学をもとにしたものなどがあるが、ここでは2つ挙げよう。
1つ目は、生産者が生産に必要とした労働量に合わせて分配を行うことである。つまり商品の生産に大きく貢献していれば、より多くの対価を得られるということになる。ただし、貢献度は何を基準として測るべきかという問題が残る。労働時間に基づいたものは最もわかりやすく、そして平等であるかもしれないが、労働者のスキルや資本、技術の投入なども考慮する必要がある。
2つ目は人間の生存権や尊厳に基づいたもので、生産者や労働者が最低限の生活を送ることができるような価格設定行うことだ。これは、1つ目の要素に加えて人々の生命や生活を保障する側面を持つ。世界人権宣言第23条3項「労働する者は、すべて、自己及び家族に対して人間の尊厳にふさわしい生活を保障する公平かつ有利な報酬を受け、かつ、必要な場合には、他の社会的保護手段によって補充を受けることができる。」はまさにこの考えに基づいている。近年広まりつつあるフェアトレード運動は、認証を受ける条件として原材料の最低価格を一定レベルに設定していることから、後者により重点を置いたものだと考えられる。

育てた野菜を収穫するネパールの女性(UN Women / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])
世界貿易の勝者と敗者
では、世界貿易の実態はどのようなものだろうか。まずは大まかな歴史について見ていこう。遡ること約500年、航海技術の発達に伴いヨーロッパ各国は、奴隷という形での現地人の連行、農作物や鉱物資源の略奪を開始した。こうした搾取を定着させたものが、植民地制度である。この時代の取引は、搾取という形かつ植民地・帝国間の運搬が多く、必ずしも「貿易」とは言えないかもしれないが、世界各地のモノの移動が大きく増加したのも事実である。第二次世界大戦が始まると貿易の拡大は一時衰えたが、植民地が独立を勝ち取っていくと同時に、飛行機の導入・海運の効率向上・通信技術の向上といった技術の進歩から取引コストが削減され、大戦後には再び貿易の拡大が加速した。現在、ほとんどの国では数十年前よりも多くのものを生産し、多くの貿易を行っている。
次に貿易の効果について言及したい。例えば、貿易を行うことは国で栽培・生産・製造できないものを含めた、あらゆる製品の入手可能性の向上・物価の低下などプラスの効果が挙げられる。一方で、低賃金の労働や雇用機会の減少といったマイナスの効果も忘れてはならない。以上の正負両側面を鑑みると、世界全体ではプラスの経済効果が生まれているというデータもあるが、その分配には依然として大きな問題が残る。詳細は後述することとする。
それでは、世界貿易の内訳について見ていこう。1900年から近年にかけて、貿易取引される売買品の総価格のうち、製造品のシェアが著しく増加し、一方で農産物のシェアは著しく減少した。これは純粋により多くの製造品が生産・貿易されるようになったということでもあるが、後述するように農産物価格の低下を表している部分もある。そして傾向として、高所得国から低所得国へは電子機器や自動車などの高価な製造品が、低所得国から高所得国へは農産物や鉱物資源などの安価な一次産品が多く輸出されている。
これには2つの理由が考えられる。1つ目は国の経済力の違いだ。一次産品は加工されればより高く売れるが、それには莫大な初期投資が必要となるため、低所得国が加工を行うことは難しい。2つ目は過去の植民地主義の産物だ。植民地時代の世界貿易は、宗主国が植民地で大型プランテーション建設や鉱山開発を行い、そこで生産された一次産品を用いて、宗主国が製造品を生産するという仕組みが多かった。このように、植民地だった過去を持つ国々は、宗主国の政策によって特定の産業に集中せざるを得なかったため他産業が発達しなかった。また、他産業を発達させるための収入も特定の産業に依存しているため、今もなお、外国為替収入の大部分をわずか数種類の一次産品に頼っていることが多い。実際、50カ国以上の低所得国が、輸出収入の半分以上を3つ以下の一次産品に依存している。例えば、東アフリカに位置するブルンジでは、コーヒーと紅茶が外国為替収入の86%を占めている。

出荷を待つコーヒー豆(uusc4all / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])
こうしたモノカルチャー経済では、国の収入、ひいては国民一人一人の生活は数種類の一次産品価格に依存することになる。ところが、比較的安定した価格を維持する高価な製造品とは異なり、一次産品の価格は絶えず変動している。天候や需給バランスに加えて一次産品の価格に大きな影響を及ぼしているのが、資産家の投機行動だ。特に、先物取引商品(※1)やその他の金融派生商品(※2)が株のように扱われ、短期的に売買が繰り返されることで価格が激しく変動するのである。その結果低所得国の多くの人々は、不安定な所得の元、絶えず生命の危険にさらされながら生活しているのだ。
こうした状況では当然格差が広がっているように思われるが、あるデータでは、1988年から2015年にかけて世界の所得格差がわずかながら低下したという。しかしこれは、世界人口の3分の1以上を占め、近年目覚ましい経済成長を遂げた中国とインドによるものが大きく、2カ国を考慮しなければ格差は広がっていると考えられる。その証拠として、各国を高・低所得国に二分すると、高所得国の一人当たりGDPの増加率は、低所得国のものを大きく上回っている。また個人レベルで見ると、世界の富の大半はごくわずかな者の手に集中しており、この不平等はコロナ禍で大きく広がっていることが確認できる。
そして、長年問題視され続けている世界の貧困状態は、中国やインドを除けばほとんど改善されないままである。人間の生存率の分岐点とされるエシカルな貧困ライン(※3)以下で暮らす人の割合は、2014年時点で世界全体に56.8%、サハラ以南アフリカでは92.0%である一方で、一部の高所得国では2.1%と非常に低い。国家間で大きな格差があることが見て取れる。
以上のように世界貿易の現状を注意深く観察すると、明らかに低所得国・低所得者が不利な状況に置かれていることがわかる。つまり、植民地化などの歴史的に不利な状況にあった低所得国では、製造業の発達が遅れたため所得を増やすことができない。しかし、スタートの時点で出遅れていたという不利な条件だけでなく、現在のアンフェアな貿易システムもまた、格差を助長するのではないだろうか。以下では、アンフェア貿易の実態、原因や背景について見ていこう。

マダガスカルの金鉱山労働者たち(Rod Waddington / Flickr [CC BY-SA 2.0])
価格設定に関するアンフェア
アンフェア貿易の温床として、まずは商品の価格設定について考える必要がある。一般的に小売店では、売る側が価格を提示し、買う側は決まった価格で商品を購入することとなる。しかし、多くの一次産品の生産現場においては、その真逆のことが起きている。つまり、商品の購入者が価格を提示するということだ。その背景には、世界貿易における一次産品の価格設定は力がものを言うという、弱肉強食のシステムが潜んでいる。資金や売買品をより多く動かす者が、価格に影響を与えることができるのだ。食に関連する価値連鎖(バリューチェーン)を単純化した例を挙げよう。最終価格における取り分から見ると、「力」の大きい順に小売業者、製造業者、商社、生産者であると考えられる(※4)。すなわち、生産者にはほとんど価格決定権がないということだ。
食料品のみならず一次産品においては、一般的な売買行為と逆で、売り手ではなく買い手が完成した商品の価格を決定することが多い。ある大手たばこメーカーがマラウイの生産者からたばこの葉を買い取る際、メーカー側が商品の出来を評価し、自社の都合で値段を一方的に決定するという。こうしたシステムはインドの綿花産業やマダガスカルのバニラ産業にもみられ、特に低所得国からの売買品においては一般的な構造だといえる。価格設定にほとんど関与できない生産者側は不利な立場に置かれ、搾取へとつながるのだ。
では、なぜこのようなシステムが構築されるのだろうか。原材料などにおける価格設定の大まかなフローについて見ていこう。初めに国際取引所で価格の動きが集約される。例として、農産物やその関連商品では世界最大とも言われるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)、世界最大の金属取引量を誇るロンドン金属取引所(LME)が挙げられる。このような国際取引所で、生産者や製造業者による製品の供給と、消費者の需要が調整される。ここでは、国際商社や大手小売業者などの売買行動が価格に大きく影響する。しかしもうひとつ非常に大きな影響力をもつのが、上述したような資産家やファンドの投機行動である。彼らは、現物商品をめぐる取引だけでなく、儲けのためにその派生商品を取引する。例えばLMEにおける金属の取引総額は、現物商品の総額を大きく上回っている。このような仮想取引も現物価格を大きく変動させるのである。

ロンドン金属取引所(HM Treasury / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])
このように国際取引所で国際的な相場が決まると、大手国際商社と、取引をする現地の生産者に近いローカル商社・バイヤーが国際相場に合わせて価格設定を行う。最後に、現地のバイヤー・生産者間で価格設定の合意が必要となるが、生産者は市場へのアクセスや販売相手が限られている場合が多い。また、国際市場の動向に関する情報も十分ではないため価格交渉が困難であったり、貧困のため即時に現金収入が必要な場合がある。以上のような理由から、多くの生産者は提示された価格で商品を販売するしかなく、不利な立場に置かれているのだ(※5)。
こうした現状に対して、一次産品産出国の政府や国際組織が何の対策も行っていないわけではない。農作物の最低出荷価格を定めたり、外資系企業が採掘・輸出する産品に課す、鉱山使用税(ロイヤルティ)を設定したりすることができる。例えばルワンダでは、国家農業輸出開発委員会(NAEB)がコーヒー豆の最低出荷価格を引き上げた。またザンビア政府は、外資系鉱山企業に対し、銅の採掘にかけるロイヤルティを数回にわたり引き上げようとしてきた。しかしながら低所得国は巨大商社・外資系企業からプレッシャーを受けるため、ロイヤルティを低く設定せざるを得ないことが多く、これらが「フェア」なレベルにまで引き上げられてきたとは言い難い。
ここまで商品の価格設定について見てきたが、ここからは労働の価格設定に潜むアンフェアについて見ていこう。高所得国の多国籍企業は、より低所得の国へと工場を移していく傾向がある。これは人件費を抑えるためで、その分低所得国の労働者は、低賃金かつ劣悪な環境での労働を強いられることが多い。企業は、人々の貧困状態や労働条件に関する不徹底な法律を利用し、人件費や生産コストを安く抑えようとするのだ。例えばある調査によると、高所得国において販売価格1,130円相当のポロシャツ1枚の製造にあたって、バングラデシュの下請け工場労働者が得られるのはわずか10円相当、つまり販売価格の0.9%だという。一方でメーカーの利益は672円相当と59.5%にものぼる。こうした低賃金は、物価の低い低所得国でも生活が困難なレベルである。

バングラデシュの縫製工場労働者(UN SG’s Special Advocate for Inclusive Finance / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])
こうした悲惨な待遇に対して、バングラデシュやカンボジアでは、賃金の引き上げを要求するデモがしばしばみられる。しかし、いずれも警察が出動し武力で鎮圧されており、死者も出ているという。また、そもそも雇用主によって労働組合の結成が禁止され、団結して賃金の引き上げを要求することができない場合もある。さらに、現地工場を利用する自国企業の利益を守るため、他国が現地の政治に介入して賃金の引き上げを阻止しようとするケースもある。ハイチの例を挙げよう。1990年代、ハイチ議会では最低賃金の引き上げに向けて議論が進んでいた。ところがアメリカ大使館は、現地の工場を利用していた自国企業にとっての生産コスト上昇を恐れ、予定していた引き上げ金額を大きく下回る時給24セントに抑えるよう、秘密裏に圧力をかけたという。結果、日給3米ドルに落ち着いたものの、これはハイチで生活するのに十分といえる金額と程遠い。
高所得国によるアンフェアな政策
貿易において、売る側・買う側の行動以外にも多くのアンフェアが存在する。まず関税について述べたい。大半の高所得国の関税は、加工されて付加価値が付いたものは高く、一次産品は低い。この現象は「傾斜関税」と呼ばれる。例えば日本では、焙煎前のコーヒー豆は無関税だが、焙煎済みの豆は20%の輸入関税がかかる。このようにして、他国で付加価値がつけられた商品を締め出し、自国の産業に利益をもたらすことができる。また、高所得国政府は自国の産業に莫大な補助金を与え、自国の生産者の収入をある程度担保しつつ自国製品の価格を引き下げることができる。例えばアメリカ、中国、日本、欧州連合(EU)諸国を中心に農産業に莫大な補助金が付与されており、総額はなんと年間7,000億米ドルにも上る。こうして自国製品の価格競争力を高め、他国商品の輸入を防ぐことができる。他国市場においても価格の安さで他国商品に勝ち、輸出を促進することができる。こうした行為はダンピングと呼ばれる。
各国は相互に自由貿易協定を締結することもある。関税の撤廃を含む協定の下では、補助金を得て価格が引き下げられた高所得国の製品が有利であることは自明である。そして、高所得国が低所得国にこのような自由貿易協定を持ちかけ、市場を開放しようとすることもある。例えば、EU・カメルーン間の経済連携協定では、カメルーンの市場の約80%をEUからの輸入に開放するよう推奨し、徐々に関税の撤廃を図っていた。こうなると、価格競争力が弱いカメルーン商品はEUからの輸入品に対抗できなくなってしまう。また、関税による収入の減少は避けられず、国内では脆弱な財政基盤を懸念する声が上がっていた。「自由」貿易協定といいつつも大きなアンフェアが存在している。

ハンブルクの港に浮かぶ大型貨物船(Piqsels [CC0])
また、特許に関するアンフェアにも触れておこう。経済力の強い高所得国では、政府による補助もあり、作物の種子の改良や医薬品の開発に潤沢な資金をつぎ込むことができる。こうして発明されたものに対して特許を取得することで、高所得国の企業は商品の生産を独占し、価格を自由に設定できる。その結果、特許が取得された製品の価格は高く、低所得国にとっては手が届かないものとなってしまう場合も少なくない。低所得国で新型コロナウイルスのワクチン接種が遅れている背景には、まさに特許により価格が高い水準で固定されている問題がある。
また農業分野などで、高所得国の企業が自国政府の圧力を借り、特許取得商品を普及させようとする事例もみられる。例えばアフリカなどでは、千年以上前から農家同士が作物の種子を相互に交換し、共存を図ってきた。しかし近年、高所得国とその企業は、アフリカ各国に種子の交換を禁じる法律を定めるよう圧力をかけている。種子の交換が容認されていれば、自社が開発した種子も交換されてしまう可能性があるからだ。また法整備に加えて、大手種子メーカーが農家を相手取って訴訟を起こすこともある。例えばかつて存在したモンサント社は、自家用に特許取得種子を保存していた農家に対し、大量に訴訟を起こし勝訴している。こうして販売路線を拡大しようとしているのだ。
よりフェアな社会に向けて
ここまで貿易に関する深刻なアンフェアについて見てきたが、現状に対して全く手立てがないわけではない。民間レベルでは、まず協同組合の設立が挙げられる。例えばコーヒーの生産が外国為替収入の40%を占めるエチオピアには、オロミアコーヒー生産者組合連合(OCFCU)という組織がある。この組織は、生産技術や市場動向に関する情報の提供などを行っている。こうした活動がコーヒー豆の品質向上、ひいては取引価格の引き上げや生産者の生活レベルの向上につながる。
また、世界規模の運動によって、サプライチェーンの上方にいるメーカーや小売業者に働きかけることもできる。コロナ禍で起こったペイアップキャンペーンを挙げよう。新型コロナウイルスによる衣類需要の減少を見込んだ大手メーカーは、力関係を利用し、発注済みの注文を大量にキャンセルした。不正キャンセルされた衣類の総額は、なんと約160億米ドルにも上るという。すでに生産を開始していた下請け業者は大打撃を受け、多くの従業員を解雇せざるを得なくなってしまった。この事件に対し、2020年以降、メーカーの責任を問う世界規模の運動が行われた。署名活動、ストライキを中心とするペイアップキャンペーンはある程度成功し、一部の損失を取り戻すことができたという。

フェアトレード認証を受けたバナナ(Dave Crosby / Flickr [CC BY 2.0])
また「フェアトレード」商品は、完全にフェアに取引されたものかという問題は依然抱えているものの、フェアな貿易に向かった着実な一歩であることは確かだ。チョコレートやコーヒーといった農作物のフェアトレードだけでなく、スマートフォンの原料となる鉱物資源に着目し、労働者の賃金や安全性に配慮して製造される「フェアフォン」なども少しずつ普及している。
しかし、貿易において最も力を持っている高所得国の政府・小売業者・製造業者・商社にこそ対策を求める必要がある。現在、これらのアクターが積極的に行動を起こしているとは言い難い。彼らの改革なしには、アンフェアトレード問題の改善に向けた大きな前進は見込めないのではないだろうか。
※1 商品の生産に先んじて一定量の価格を決定しておくこと。農作物の不作や価格の変動に対して保険のような役割を果たすシステム。
※2 デリバティブ「金利・為替・株価等の価格変動に基づいて行う取引やその商品をいう。」のこと。取引自体に実態がない場合が多く、将来の価格予想に基づいてギャンブル的に取引されるという批判が強い。
※3 GNVでは世界銀行が定める極度の貧困ライン(1日1.9米ドル)ではなく、エシカル(倫理的)な貧困ライン(1日7.4米ドル)を採用している。詳しくはGNVの記事「世界の貧困状況をどう読み解くのか?」参照。
※4 オックスファムの報告書において、商社よりも生産者の方が利益の取り分は多いが、生産者の方が圧倒的に多く存在するため、一人当たりの利益は商社勤務者の方が多いと考えられる。
※5 その他のバイヤー・生産者間の取引形態として、契約栽培制度がある。これは、栽培品目や価格などをあらかじめ決定したうえでバイヤーが生産者に農作物の苗や農薬を貸し付け、出来上がった産品からその代金を回収する制度である。ここでも、到底不可能な収穫量を担保として定められている場合やもとから農家に利益が出ないような価格設定がされている場合があり、生産者は不利な立場に置かれているといえる。
ライター:Nao Morimoto
私たち一人一人が自国や周囲の環境だけでなく、他者に対する理解・リスペクトを持つ必要があると感じました。