リビア:東部議会、トルコとの論争中の海洋協定を承認

by | 2026年10月26日 | GNVニュース, ヨーロッパ, 中東・北アフリカ, 政治, 農業・天然資源

リビア東部拠点の議会は2026年10月20日、トルコとの係争中の海洋協定を承認した。この決定は、それまでの拒否方針を覆し、対立してきたリビアの二つの政府を同一歩調に立たせるものとなった。ギリシャ、エジプト、欧州連合(EU)は、この決定が他国の海洋権益を侵害しているとして、反対している。

この協定は正式には、「地中海における海洋管轄権区域の画定に関する了解覚書」と題され、もともとは2019年11月27日にイスタンブールでトルコとリビア西部拠点の議会との間で署名された。これは、両国の大陸棚および排他的経済水域(EEZ)に関する海洋境界を定めるものであり、これらの境界は、沖合の石油・天然ガス資源などの権利主張を左右する。

この協定は、2011年のムアンマル・カダフィ政権の打倒後に続いたリビアの政治的分裂の中で浮上した。その後、同国は東西二つの対立政権に分裂した(*1)。トルコは2019年、西部リビアに拠点を置く国際連合承認政府である国民合意政府(GNA)との間で、この協定に署名した。当時GNAは、東部の軍司令官ハリファ・ハフタルが率いる勢力と戦闘状態にあった。協定締結後、トルコは西部リビアに対するハフタルの攻勢を阻止するため、軍事顧問団や無人機(ドローン)を派遣した。こうした対立のさなか、東部議会は海洋協定を拒否し、2020年にはトルコとの政治的関係を断絶した。

しかしその後、トルコと東部リビアの関係は、外交訪問、建設投資、軍事協力などを通じて徐々に改善していった。2025年には、両国はすでに沖合エネルギー探査に関する取り決めを有していた。2026年7月には、トルコはハフタル軍勢との間で、軍事施設、監視システム、訓練プログラムに関する合意に達した。2026年10月20日、リビア東部議会は2020年の海洋協定拒否決議を撤回する採決を行った。GNAの後継政権である西部の国民統一政府(GNU)は、この決定を歓迎した。

この承認を受け、周辺諸国からの反発が再燃した。エジプトは、自国の排他的経済水域と大陸棚が侵害されていると主張した。ギリシャは、クレタ島、ロドス島、カルパトス島などの周辺における海洋権益が無視されていると訴えた。これに対しギリシャとエジプトは、2020年に締結した海洋協定をキプロス方面の東方へ延長することを協議し始めた。両国の協定は、トルコの主張と重複する海域の境界を画定している。

この争いは、ギリシャ、キプロス、将来的にはイスラエルを結ぶ総額21億米ドル規模の海底送電ケーブル計画「グレート・シー・インターコネクター」にも関わっている。このプロジェクトは係争海域をめぐる問題から遅延している。イスラエルは、東部リビア議会による協定承認を非難し、トルコが地域を不安定化させていると批判した。

EUもまた、この協定は第三国の海洋権益を侵害しているとして、「無効である」と宣言した。国連海洋法条約(UNCLOS)(*2)の締約国ではないトルコは、協定の合法性を擁護している。EUはあわせて、すべての国に対し、周辺諸国の海洋権益を尊重するよう求めた。一方トルコは、この合意は両当事国の権利と利益を保護するものであるとの立場を維持している。

(*1) リビアは、トリポリを拠点としアブドルハミド・ドベイバ首相が率いる国連承認の国民統一政府(GNU)と、オサマ・ハマド首相が率い、軍司令官ハリファ・ハフタルの支援を受ける東部拠点の国民安定政府(GNS)との間で分裂している。

(*2) 1982年に採択され1994年に発効した国連海洋法条約(UNCLOS)は、最大200海里まで設定できる排他的経済水域(EEZ)を含む海洋権益を規定している。また、一定の要件を満たす島嶼にも海洋権益を認めている。ギリシャは、トルコ・リビア間の協定がこれらの権利を無視していると主張しているのに対し、UNCLOSの締約国ではないトルコは、ギリシャの島嶼が主張しうる海洋権益の範囲に異議を唱えている。

リビアについてさらに知る→ リビア:長期化する政治的対立

リビア・ベンガジ港(2023年)(写真:Salema younus / Wikimedia Commons[CC BY 4.0])

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