GNVニュース 2026年3月1日
世界で高騰していたカカオの価格が急激に下落するなかで、カカオの主要生産地のコートジボワールやガーナは、大量の在庫への対応を余儀なくされている。カカオの価格は、2024年にそれまでの約3倍になり、大幅に上昇した。気候変動やカカオの木の病気の影響で、カカオの供給が需要に追いつかなくなったためである。しかし、2025年半ば頃からカカオの価格は下がり始め、2026年現在では上昇以前の価格水準になっている。価格が下落した理由としては、直近の収穫でカカオが豊作だったことに加え、カカオやチョコレートを扱う業者がカカオ高騰の影響で資金不足に陥り、需要が弱まっていることが挙げられている。これらの業者は事業コストの上昇を商品の販売価格の上昇で相殺しようとしたが、高い商品に対して消費者の購入が伸び悩み、その結果として業者のカカオへの需要がさらに弱まっている。
2国で世界のカカオ生産量の半分以上を占めるコートジボワールとガーナでは、カカオの取引は規制されたシステムのもとで行われている。政府指定の規制当局が生産量の大部分をあらかじめトレーダーに売り、この価格に基づいて後から生産者がカカオを売るのである。しかし、規制当局とトレーダーの契約締結後に、今回のような価格下落が起こると、トレーダーは高い価格で仕入れた商品を安く転売することになる。それを避けるため、トレーダーは購入するペースを緩めたり、停止したりする。この結果として、カカオ生産国にはカカオの在庫が大量に残ってしまっている。
こうした状況に対処するため、コートジボワールとガーナの両国では、それぞれの方法でカカオの生産者価格(※)の引き下げが行われている。コートジボワールは3月に収穫されたカカオをより安い固定価格で取引される予定のものに分類し直し、ガーナは生産者価格そのものを元の3分の2程度に引き下げた。これ以外にもコートジボワール政府は農家からカカオを直接買い上げる方法も取っている。しかし、この価格低迷が続けば、両国の財政は圧迫され、カカオ農家の生活もさらに苦しいものとなる。カカオ農家の多くはカカオの価格が上昇していたときでさえ、固定価格による取引の影響でその恩恵を受けられず、深刻な貧困に直面している。
※ 生産者が仲介業者などに商品を引き渡すときの価格。生産に必要な費用に加え、生産者の利益が含まれる。
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コートジボワールのカカオ農園(写真:Mighty Earth / Flickr [CC BY-ND 4.0])





















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