中央サヘル諸国、国際刑事裁判所からの脱退を表明

執筆者 | 2025年09月28日 | GNVニュース, サハラ以南アフリカ, 法・人権

ブルキナファソ、マリ、ニジェールの3カ国は、2025年9月22日に国際刑事裁判所(ICC)のローマ規程からの脱退を発表した。この3カ国は2023年にサヘル諸国連合(AES)を結成している。これらの国々は2000年代初めにICCに加盟したが、実際にICCが捜査を続けているのはマリだけとなっている。マリでの紛争が始まった2012年以降、ICCは過激派グループのリーダーたちを起訴してきた。今もなお、アルカイダ系の過激派グループのリーダーに対して逮捕状が出ており、その人物はサヘル地域で活動している。

ICCの選別的な対応と、これらの国々が主権を全面的に主張する必要性が、脱退の理由として挙げられている。実際、ICCは特定の事件を取り上げており、他の事件を追求していないとして、その選別的な姿勢や、特にアフリカに過度に焦点を当てている点で、長年にわたり批判されてきた。

ただし、近年はアフリカ以外の地域でも案件を扱い、裁判所の普遍的な使命をある程度強化する動きも見られる。フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ元大統領の逮捕、ロシア大統領やイスラエル、ハマスの指導者に対する逮捕状の発行などは、こうした批判に応えようとする姿勢の表れとも言える。一方で、2017年と2025年には、アフガニスタンにおける米軍の戦争犯罪疑惑や、イスラエル指導者への逮捕状をめぐる捜査に対し、アメリカがICCに制裁を加えており、これが同機関の弱体化につながっているとされる。

人権団体は、AES諸国のICC脱退を非難している。これに対しAES側は、人権を守るために、地域の現実に根ざした「サヘル司法裁判所」を設立すると表明している。AES諸国は、すでにICCを脱退したブルンジやフィリピンに続く形となる。また、ハンガリーも脱退を表明している。

AES諸国についてもっと知る→「変容する西アフリカの国際関係

国際刑事裁判所(ICC)(写真:United Nations Photo / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0] )

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