
この作品は、ゲリラ的なストリートアーティストであるバンクシーによって描かれたと考えられており、2025年9月8日の早朝、ロンドンのロイヤル・コーツ・オブ・ジャスティスの外壁で発見された。この壁画には、判事が無抵抗の抗議者をガベル(木槌)で殴っている様子が描かれている。抗議者の血は、抗議用のプラカードに付いているのが見える。
この作品は、イスラエルによるガザでのジェノサイドに抗議していた人々が、イギリス政府によってテロ対策法の下で逮捕・起訴されたこと、そしてそのジェノサイドに対するイギリス政府や武器製造企業の共謀関係に対する批判として制作されたと考えられている。
例えば2025年7月、イギリス政府は、抗議団体パレスチナ・アクションを「テロ組織」として指定した。この団体の活動家たちが抗議として、イギリス国内の空軍基地に侵入し、2機の空軍機に赤いペンキを吹きかけたことがきっかけだった。一度テロ組織に指定されると、テロ対策法の下で、その団体への支持を表明することも違法となった。その後、イギリス政府は、この団体を支持するプラカードを掲げたという理由で、何百人もの人々を逮捕している。
バンクシーの作品は、イギリス政府による「テロリズム」というレッテルの濫用、そして言論の自由を抑え込もうとする姿勢に対する抗議として見られている。作品はすぐに覆い隠され、その後、政府関係者によって撤去された。
「テロ」の定義についてもっと知る→「『テロ』を問う」
言論の自由の抑圧についてもっと知る→「イスラエル・パレスチナ紛争で脅かされるヨーロッパの表現と集会の自由」
他のバンクシーの作品を見る→ バンクシー・シリーズ
(写真:Ron Frazier / Flickr [CC BY 4.0])




















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