GNVニュース 2025年11月19日
2025年11月14日、第30回気候変動枠組条約締約国会議(COP30)において、参加者の25人に1人が化石燃料ロビイスト(※)だったと国際NGO連合のキック・ビッグ・ポリューターズ・アウト(KBPO)が報じた。参加した化石燃料ロビイストは1,600人にも上り、過去最大の割合だった。これは、開催国ブラジルを除いて、どの国の代表団よりも多い参加者数だった。化石燃料ロビイストは、過去5年間で延べ7,000人がCOPに参加している。
化石燃料ロビイストは、化石燃料業界の利益を政策に反映させるために、政策決定者に働きかける。今回は、COPにおいて化石燃料業界に不利にならない合意がなされるように活動していると思われる。また、COP会場での直接的なロビー活動を行うだけでなく、普段から国内においても化石燃料の生産や消費に法的規制がかからないように政治献金を行ったり、石油や天然ガスに関する補助金を維持するための活動を行ったりする。
このように、化石燃料の使用を減らすなどの、気候変動対策の強化に向けた議論がされるはずのCOPに、目標と矛盾した活動を行う人々が多く参加しているのだ。実際、アラブ首長国連邦やアゼルバイジャンで開催された過去のCOPでは、議長国と石油関連の企業に強い関連があったことも問題になった。
COP30以降、政府代表団以外の参加者は、COP参加のための資金提供者を公表し、その目的が国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)に沿っていることを示すことがUNFCCCから求められるようになった。一方、ロビイストは政府代表団を通じて利益を主張していることが多いにも関わらず、このような資金源の透明化は政府代表団には求められていない。
こうした状況に対し、化石燃料ロビイストのCOP参加禁止を求める声は多く上がっているが、彼らがCOPの場から退くのはまだまだ先になりそうだ。
※ 化石燃料とは、古代の動植物の化石が堆積してできる燃料。石炭や石油や、天然ガスなどがある。
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ブラジルのアマゾンで開催されたCOP30の会場付近(写真:UN Climate Change / Flickr [CC BY-NC-SA 4.0])





















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