
薄緑色の海底で、手をつないで輪になる子どもたちの彫刻を捉えた一枚。体には堆積物が重なり、腕には白いサンゴが付着している。長い年月を海中で過ごしたように見えるが、自然に形成されたものではなく、人の手によって設置された彫刻である。
「Vicissitudes(変遷)」と名付けられたこの作品は、彫刻家ジェイソン・デ・ケイレス・テイラーによって制作され、2006年にカリブ海の島国グレナダ沖にあるモリニエール湾に設置された。グレナダはナツメグなどの香辛料の生産で知られ、「スパイス・アイランド」の名でも呼ばれる。
彫刻にはpH中性のセメントが使用され、海洋生物が付着しやすいよう設計されている。設置後、表面にはサンゴや海藻などが徐々に定着し、人工物だった彫刻が海洋生態系の一部へと変化している。こうした作品は、観光資源としてだけでなく、人工漁礁として海洋生物の生息環境を提供する役割も担っている。
一方、この作品には生命の循環を象徴するという解釈のほか、大西洋奴隷貿易の時代に海へ身を投げた人々の記憶を重ねる見方もある。海中で生態系の一部へと姿を変える彫刻は、芸術を通じて環境と歴史を伝える存在となっている。
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(写真:R Gombarik / Shutterstock.com)





















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