この記事はグローバル・ボイシズのダリア・デルガチェワ氏、フェルナンダ・カノフレ氏、シドニー・アレン氏によって書かれた。グローバル・ボイシズの2026年4月スポットライトシリーズ「AIに関する人間の視点」の一部である。本シリーズはAIがグローバル・マジョリティの国々でどう使われているか、その利用と導入が個々のコミュニティにどう影響しているか、このAI実験が将来世代に何をもたらすかなどを示す。GNVはこの記事を再掲載している。グローバル・ボイシズの報道を支援するにははこちら。

サーバールーム(写真:BalticServers.com / Wikimedia Commons[CC BY-SA 3.0])
データセンター
データセンターは現代のデジタル時代を支えるほとんど目に見えない巨大な存在だ。施設はサーバーや「新しい石油」と呼ばれているデータを処理するために必要なその他のITインフラを収容する巨大な倉庫で構成されている。生成系人工知能(AI)の現在のブームにより、データセンターの需要は急増すると予測されており、国連開発計画(UNDP)によれば2030年まで毎年約20%増加するとされる。
この差し迫ったデータセンター需要はAIとテック企業が主導しており、各国政府に対して積極的にロビー活動を行い、この技術が経済成長と進歩を促すという物語を押し出してきた。その結果、データセンターはこれまで優先されてこなかった地域、特にグローバル・サウスで出現している。UNDPが指摘するように、たとえばラテンアメリカとカリブ海地域ではデジタルインフラがごく少数の国に集中しており、主に民間所有でアメリカの投資グループに支えられている。
クラウドインフラの民族誌研究者で『クラウド・エコロジーズ(Cloud Ecologies)』の著者、スティーブン・ゴンザレス・モンセラーテ氏はこのプロセスを「テラフォーミング」と呼び、人間の生活の特定のあり方をコンピューターに合わせて変えることだと説明する。彼はこう述べている。
「われわれは再び、これらのデータセンターが生成する資源の流れが西側企業を通じてグローバル・ノースへ流れているのを見ている。こうして不平等が固定化され、新たな植民地主義が生まれている。彼らは土地を取り、天然資源を奪っている。彼ら自身が国家ではないかもしれないが、国家のように振る舞っている。グーグルやアマゾンはますます国家のように振る舞っている。彼らは政治家に影響を与えるために多額の金を使っている。従業員のためのインフラを作り、国の中に小さな飛び地を作っている。」
実際、ラテンアメリカ調査報道センター(CLIP)はアジェンシア・プブリカ(Agência Pública)や15のメディアパートナーと共同で行った調査「ビッグテックの見えざる手」で、2012年から2025年の間にテック企業の幹部が世界中の政府関係者と何千もの会合を持っていたことを明らかにした。そして議題の中で、AI、データセンター、テックインフラ、エネルギー、税制、規制が中心になっており、とくにブラジル、チリ、メキシコ、アルゼンチンなどのラテンアメリカ諸国で顕著だった。

農夫が畑を耕す、メキシコ(写真:CIMMYT / Flickr[CC BY-NC-SA 2.0])
データセンターはほとんど常に近隣のコミュニティに影響を与え、その影響はめったに良いものではない。施設は一般に大量のエネルギー、土地、水資源を必要とし、生成系AIを支えるために建てられるものはさらに多くを消費する。この巨大な需要はすでにグローバル・ノースの国々を圧迫している。では、インフラ、慢性的な水不足、電力網管理にすでに課題を抱えるGDPの低いグローバル・サウス諸国はどう対処しているのか。
本記事は国境を越えた協働記事で、ラテンアメリカのいくつかの国から、AI駆動のデータセンター開発に対して地域社会が抵抗している事例を伝える。アジアでAI開発がコミュニティに与える影響に関する協働記事はこちら。
データセンターのコスト
データセンター・マップによれば、ブラジルは34の市場に206のデータセンターを持ち、ラテンアメリカで首位に立っている。連邦政府は国家データセンターポリシーを実施し、今後5年でこの分野に3兆米ドルの投資が見込まれると推定している。政府はまたデータセンターへの新規投資を促す特別税制も導入している。
「ブラジルはデータセンターを誘致するための明確な政策を必要としている」と開発産業商務大臣マルシオ・エリアス・ローザ氏は4月に国営メディアグループEBCのインタビューで述べた。「データセンターを誘致するための政策をつくる際には環境問題との整合性を保つことに注意しなければならない。データセンターは大量のエネルギーと水資源、冷却用の水を消費するからだ。」
こうした優遇措置が周辺コミュニティに不利益をもたらし得る最も顕著な例の一つが、スカラ(Scala)社がブラジルのエルドラド・ド・スルで開始しようとしている「AIシティ」プロジェクトだ。スカラはブラジル、チリ、メキシコで既にデータセンターを運営している。リオグランデ・ド・スル州のエルドラードは2024年に記録的な洪水で壊滅的な被害を受けた都市の一つだった。州の推定で領土の約90%が数日間水没し、州史上最悪の気候災害と考えられている。住民は災害の再発を恐れており、この地域では年ごとに洪水が起きるのが現実だ。

ポルト・アレグレの洪水、ブラジル、2024(写真:NASA / Wikimedia Commons[Public domain])
このプロジェクトは2024年に最初に発表され、完成すればスカラの事業はラテンアメリカで最大のデータセンターになる見込みだ。施設の占有面積は700万平方メートル、費用は少なくとも500億米ドルと見積もられている。
アンビエンタル・メディアは2026年3月に州政府が環境許認可手続きを簡素化してプロジェクトの許可を「可能な限り短期間で」通すことに同意したと独占報道した。報道はまた、簡素化により「同社に環境影響評価(EIA)や公聴会を義務付けない」と述べている。鉱山・エネルギー省は1.8ギガワットの電力アクセスを承認したが、これは600万人の都市が消費するエネルギーと同等だ。
エネルギー業界とテック企業の代表は連邦政府にさらなる優遇措置の導入を働きかけている。消費者擁護団体(IDEC)の報告書「我々はデータセンターの裏庭ではない」は、ラテンアメリカの事例を分析し、「コミュニティが水を使い果たし、電気代が高騰し、住民の合意なくプロジェクトが承認される」状況を描いている。文書は、社会的・環境的脅威をもたらす可能性のあるプロジェクトの拡大を制限するために、効果的で明確な規制政策の必要性を強調している。
「強靭なガイドラインの欠如は、社会環境的影響を生む開発モデルの再生産に寄与し得る。最近の多くの報告書や研究が報告しているように、こうした影響は規制が緩やかなためグローバル・サウス諸国、例えばブラジルに集中する傾向がある。」
チリ、ウルグアイ、アルゼンチンの動き
2017年にはチリでデータセンターの計画が6件だったが、2026年には66件になる。アルゼンチンには現在42のデータセンターがあり、ウルグアイには10件ある。AI競争に巻き込まれたテック大手、マイクロソフト、アマゾン、グーグル、そしてある程度オラクルも、ラテンアメリカでデータセンターに投資している。

モンテビデオの電気通信ビル、ウルグアイ(写真:Sally / Flickr[CC BY-NC-SA 2.0])
データセンターの環境的・政治的影響を研究しているスティーブン・ゴンザレス・モンセラーテ氏はグローバル・ボイシズのインタビューで、テック企業が政治家に接近するとき、雇用創出、経済的利益、技術的進歩について自治体や地域社会に華やかな約束をすることが多いと述べた。モンセラーテ氏はこう説明する。
「データセンターを未来と考える。コンピューターとAIが未来だと。未来を止める理由がどこにある?というのが物語だ。しかし、ほとんどの人はこれらがどう機能するかを理解していない。市長ですらデータセンターの仕組みを理解していない。彼らはドルの数字だけを見て興奮し、経済的利益を得たがる。」
しかし現実には、AIデータセンターは地域経済にそれほど多くの経済的利益をもたらさない。建設後、運用に必要な人員は数十人程度で、政治家が想像する何千人という雇用は生まれないことが多い。
また、エネルギー、水、土地といった大量の資源を消費する。これが地域のインフラに負担をかけ、電気料金を押し上げ、場合によっては不足を引き起こすことがある。特にアメリカの対イラン戦争による石油不足のような供給が逼迫する時期についてそのようになっている。さらに、24時間、年中無休で稼働する必要があるため、運用者は現在ディーゼルやガスの非常用発電機に頼っており、これが大気汚染を引き起こす。加えて騒音公害を生み、近隣住民の心身にストレスや健康問題をもたらす可能性がある。ゴンザレス氏は言う。
「ほとんどのデータセンターは施設の屋上に空調チラーを置いている。そのチラーはガタガタとした音やハミングのような騒音を出す。データセンターは止まらないので、その騒音は常時続く。そして騒音公害が長期的に人体に与える影響についての説得力のある研究がいくつもある。」
「その影響の一部は心理的なもので、幸福感に影響を与える。不安、高血圧、ストレスだ。」
コミュニティが新しいデータセンター導入に懸念を抱くのは正当だ。ピューリッツァー・センターのAIアカウンタビリティ・ネットワークと提携したアメナザ・ロボト氏の調査は、環境影響が水や電力の使用を超えることを示した。25年分のNASAの衛星データを使って記者たちは、ウルグアイ国営通信会社アンテル(Antel)が運営するデータセンターが衛星画像上でヒートアイランドを生み、周囲よりも測定可能に気温を上げていることを発見した。グーグルはそのアンテルセンターからわずか11kmしか離れていない場所にアンテルセンターの5倍の規模となるデータセンターを現在建設中だが、環境影響評価にはヒートアイランド効果の記載がなかった。

干ばつ時の農地、チリ(写真:May Ryan / ウィキメディア・コモンズ[CC BY-SA 3.0])
コミュニティの抵抗
チリとウルグアイでは、地域コミュニティが実際にグーグルのデータセンター建設を(少なくとも一時的に)止めたことがある。
2024年2月、サンティアゴ郊外のセリジョス町の住民と活動家は、グーグルがサーバーを冷却するために水を使用することを阻止し、データセンター建設を止めた。彼らは訴えを環境裁判所に持ち込み、裁判所は(2020年に発行された)グーグルの許可を部分的に差し止め、同社が町にデータセンターを建設するのを防いだ。裁判所はテック大手に申請を修正し、環境影響を再考するよう促した。
グーグルは冷却システムを計画の169リットル/秒未満に変更すると発表した。しかし、裁判所の決定を受けて同社はプロジェクトを保留し、その国で2番目となる予定だったデータセンターへの4,000万米ドルの投資を凍結した。もう一つ、2015年に建てられ現在も稼働中のデータセンターはサンティアゴ郊外のキリクラに位置する。この記事執筆時点でグーグルが建設を再開するかどうかの報はない。
チリのさまざまな地域は1979年から2019年にかけて40年間で干ばつの影響を受けてきた。加えて、チリ北部は世界で最も乾燥した地域の一つであり、国内人口の70%が住む中央地域は2010年以来恒常的な水不足に悩まされている。
ウルグアイでは2023年、74年ぶりの最悪の干ばつの最中に、グーグルがカネロネス県にデータセンターを建設するために29ヘクタールの土地を購入したとザ・ガーディアンが報じた。このデータセンターはサーバー冷却に1日あたり760万リットルの水を使用する見込みで、これは55,000人分の家庭用水の一日分に相当する。水は公共飲料水システムから直接供給される予定だった。公共の怒りは広がり、住民は国の経済政策を非難し、産業に水の80%以上が流れていると述べた。
グーグルは2023年に建設を開始した直後に工事を一時停止した。グーグルのデータセンターウェブページではまだ「建設中」と表示されている。しかし、建設はグーグルが冷却方式を水ベースから空冷ベースに変更することに同意した後に承認された。「市民社会の抗議は当初大量の水を使用する予定だったグーグルのプロジェクトに重要な変更をもたらした」。ただし、新しい計画は「短期間で承認され、影響を評価するのが困難だ」と持続可能なウルグアイ運動(MOVUS)のアナ・フィリッピーニ氏は述べた。
アルゼンチンは、エコロジー保全とAI競争への出遅れへの懸念との間で板挟みになりながら、自国のデータセンター問題に取り組んでいる。スターゲート・アルゼンチナプロジェクトは2025年10月にオープンAIのCEOサム・アルトマン(ビデオ出演)とアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領によって歴史的マイルストーンとして発表された。
確かに、オープンAI自身が計画されたデータセンターを建設・維持するわけではないが、同社は投資を約束した、あるいはブエノスアイレス・タイムズが指摘するように、データセンターから生じるすべてを購入することに同意した。
しかし専門家は、アルゼンチンは大規模データセンターの設置と運用に特化した規制枠組みをまだ持っていないと警告している。実際に適用される唯一の規制は大規模投資のための優遇制度(RIGI)で、これは資本を誘致するための税制、関税、金融上の優遇措置を提供する。だがこの制度は環境保護、水利用、エネルギー消費、長期計画といった重要な問題に対処していない。
パタゴニアは天然ガスや水力、風力などの再生可能エネルギーを含むエネルギー資源により魅力的な立地と見なされている。しかし多くの環境懸念がある。全体として、ニュキン州はシェールガス産業の成長とクリーンエネルギー資産を考慮すると初期展開に最も好ましい場所の一つと見なされている。しかしデータセンターは特に冷却システムのために大量の水を必要とする。ニュキンのような地域では水不足が既に問題であり、気候変動で悪化することが予想される。
地域のコミュニティは累積的な環境影響に警鐘を鳴らしている。彼らは石油・ガス採掘に関連する流出、汚染、不十分なインフラといった既存の問題を指摘している。
この記事はグローバル・ボイシズの中央・東ヨーロッパ編集者ダリア・デルガチェワ氏、ブラジル・南部コーン編集者フェルナンダ・カノフレ氏、シニア編集者で気候正義担当編集者シドニー・アレン氏の共著である。






















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