G20諸国で広がる経済、社会への不満

by | 2026年09月17日 | GNVニュース, 世界, 共生・移動, 報道・言論, 政治, 未分類, 法・人権, 環境, 経済・貧困

GNVニュース 2026年9月17日

今、世界全体で政府や経済のあり方への不満が広がっている。それは、経済格差が大きく、様々な面で社会が分断されており、政府への信頼が揺らいでいるという感覚で表れている。これらの感覚は、G20諸国を対象にしたある最近の調査にも明らかになっており、所得や社会的地位に関わらず調査国全体で一貫して、格差が行き過ぎており、変革が必要だという意見が圧倒的であった。それにもかかわらず、国家は目に見えた変化と国民に還元されるはずの利益を提供出来ておらず、政府の不正と信頼の欠如が著しく目立つことも強調された。これにより、変革に対する国民の意思はあるにもかかわらず、政府への信頼の崩壊が国家の変革の可能性をさらに阻む結果にもなっている。

調査結果から明らかになった国民の不満を一時的なものとしてとらえるのではなく、政府の深い構造的問題として認識し、政治指導者たちは新たな社会契約を築く機会として関心を向けるべきだと、この調査報告書の著者たちは主張している。また、政府が公平性や経済的機会への国民の懸念に対処しないことは社会制度そのものへの信頼の低下にもつながり、反民主運動を呼ぶとも警鐘を鳴らしている。

これらの傾向はアース・フォー・オール(Earth4All)が2026年9月14日に発表した報告書にあらわれた。Earth4Allは、経済や気候、生態系などの面から持続可能で公平な未来を目指して、地球規模の課題に取り組むイニシアティブである。この報告書は、2026年2月20日から3月6日にかけてG20の国々を中心に17か国(※1)の成人13516人(※2)に対してオンライン(※3)で行った調査をもとにしている。なお、これらの国々は世界のGDPの58%、人口の38%、化石燃料および産業由来のCO₂排出量の37%を占める。

ここからは具体的な内容とその割合をみていく。まず経済的な面は全体的に見て、自国に経済不平等があまりにも大きいと答えたのは70%で、経済システムが富裕層や権力者の利益になるように仕組まれていると答えたのは65%、そのシステムの改革を求める声は69%に及んだ。そして全体の10人に4人が今後12カ月間で生活するための基本的な十分な資金に不安があると答え、アルゼンチンが最も不安度が高く、イタリアが最も低かった。

また、同報告書では社会的結束と分断という側面からも洞察を記しており、社会的結束力の強い社会は長期的にすべての人に利益をもたらす変化を成し遂げやすく、ショックからの回復力も高いとしている。しかし、自分のような人々が敬意と尊厳を持って扱われているかという質問に対して同意したのは全体の41%に過ぎず、インドでもっとも同意率が高く、日本で最も低かった。社会的地位の低い人ほど見過ごされていると感じやすく、社会への不信感や経済的不平等の感覚を助長する傾向にあるとも示された。

自国で分断が起きていると答えたのは全体的に見て67%であった。分断はその中でも4つに分類され、政党間の対立は最も高く71%で、フランスで最も高く、日本が著しく低かった。移民と国内生まれの人々の間では62%で、南アフリカで最も高く、ブラジルで最も低い。他にも高所得者と低所得者の間では63%、気候変動を懸念する人と懐疑的な人との間では53%という結果だった。

次に政治的な面から見ると、政 府は20年あるいは30年後に大多数の人々の利益となる決定を下すことができると同意したのは31%に過ぎなかった。インドで最も高い信頼度で、フランスが最も低かった。全体的な結果は急成長を遂げる中所得国では生活水準の改善に伴って比較的信頼度が高く、民主的な制度が発達した国ほど信頼度は低くなっている。これは自由民主主義国家ではしばしばメディアが公然と政府を批判しているため、独裁的な国と比較すると市民が政府の批判的な印象を受け取りやすいからでもある。

さらに民主主義が最良の統治方法であるかという質問に対しては全体の68%が同意と依然として高い。しかし民主主義への信頼は明らかに低下しており、議会や選挙に縛られない強力な指導者に賛成する声は中所得国を中心に全体で40%に上った。最も高いインドネシアでは77%でスウェーデンが最も低かった。

気候変動についての意見は、物価上昇を伴うとしても政府は今すぐ排出量削減のために強力な措置を講じるべきと全体の54%が回答した。支持する割合は気候変動にさらされる中所得国が多く、インドが最も高い割合で、日本が最も低かった。

※1 高所得国としてオーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イギリス、イタリア、日本、韓国、スウェーデン、アメリカ。 中高所得国はアルゼンチン、ブラジル、インドネシア、メキシコ、南アフリカ、トルコ。 中低所得国はインドと分けられた。なお、中国とサウジアラビアは、政治的な質問の慎重を要する事情により、またロシアはウクライナ戦争により調査対象か ら除外された。

※2 アルゼンチン 、インド 、メキシコ、南アフリカ、韓国、スウェーデン、トルコではそれぞれ500人程、それ以外の国々ではそれぞれ1000人程を対象に行われた。

※3 ブラジル、インド、インドネシア、メキシコ、南アフリカ、およびトルコ では、インターネット普及率が低く、都市部在住者、高学歴者、およびデジタル環境下にある層をより多く代表している。

 

世界の格差についてもっと知る→「ビリオネアを報じる

気候変動への対策と報道についてもっと知る→「1.5℃超えの現実:世界の気候変動問題・対策と日本の報道

南アフリカのケープタウンに位置する低所得地域(写真:Isabel Sommerfeld / Flickr [CC BY-ND 2.0])

 

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