GNVニュース 2026年7月5日
中央サヘル地域のブルキナファソ、マリ、ニジェールの3か国は2026年6月、国際刑事裁判所(ICC)の設立根拠であるローマ規程からの脱退を国連事務総長に正式通告した。ニジェールは6月18日、ブルキナファソとマリは6月24日に国連事務総長へ脱退を通告した。ローマ規程では、脱退は通告から1年後に発効する。
3か国はいずれも2020~2023年のクーデターで政権が交代し、現在は軍事政権が統治している。さらに、旧宗主国フランスとの関係を縮小する一方でロシアとの安全保障協力を深めており、今回の脱退も「国家主権の回復」を掲げる外交転換の一環と位置付けられる。2025年1月にはすでに西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)からも脱退しており、2023年に結成したサヘル諸国連合(AES)を通じて3か国間の連携を強化する一方で、国際的・地域的な枠組みから距離を置く動きを強めている。
ICCは2002年に設立された常設の国際裁判所で、国内司法が十分に機能しない場合にのみ介入し、戦争犯罪や人道に対する罪、ジェノサイドなどの重大な国際犯罪の責任を追及する役割を担ってきた。現在125か国が加盟する一方、アメリカ・ロシア・中国・インドなど大国は加盟してない。ICC締約国会議議長団は、今回の脱退について、重大犯罪の不処罰との闘いに悪影響を及ぼすおそれがあるとして懸念を表明した。ICCはこれまでも、アフリカ諸国に対する捜査や訴追が多いことから、公平性を疑問視する声が上がってきた。こうした中、3か国はICCを「アフリカを不公平に標的とする、政治利用された機関」と批判している。
一方、ICCによれば、締約国であった期間に生じた義務は脱退後も消滅せず、2013年から続くマリに関する捜査も継続される見込みである。また、サヘル地域では政府軍や反政府勢力による民間人への暴力や超法規的殺害が報告されており、ICCからの脱退によって不処罰が広がり、被害者が真実や正義を求める機会を失うことが懸念されている。
今回の動きは、長年議論されてきた「国家主権」と「国際司法」の関係を改めて問い直す契機となっている。ICCには「アフリカ偏重」との批判がある一方、国内司法が十分に機能しない紛争国では、重大犯罪の被害者が正義を求める最後の手段となってきた側面もある。脱退は通告から1年間は撤回が可能であり、今後この3か国が最終的にどのような判断を下すのかが注目される。
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オランダ・ハーグにある国際刑事裁判所(ICC)本部(2017)(写真:jbdodane / Flickr [CC BY-NC 2.0])





















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