「気候報道ウィーク」。世界各地から400以上の報道機関によって構成される「気候報道を今」(Covering Climate Now)運動によるイベントである。気候変動にブレーキがかからず、危機的なレベルに達しているにもかかわらず、報道量にしてもその内容にしても、この危機に見合った報道がないという問題意識から生まれたのがこの運動である。「気候報道ウィーク」は2019年に初めて開催され、今回(2020年9月21〜28日)はその第3回目となる。パートナー機関は気候関連の問題や対策を題材にした報道を増やしつつ、著作権を解除し、報道機関同士で記事を共有するという仕組みである。
GNVは当初からパートナー機関として参加しているが、日本を拠点とする他のパートナー機関は、朝日新聞、NHK、ニュースウィーク日本版のみで、計4機関しか参加していない。さらに、参加機関の中での参加度合にも差が大きい。2020年4月の「気候変動ウィーク」では、NHKはその1週間どころか、1ヶ月間で、国際報道において、気候変動に関するニュースは1つしか放送しなかった。
気候関連の報道がつまづくひとつの大きな原因は新型コロナウィルスの台頭である。以前より気候関連の報道は軽視されていたとも言えるが、コロナ禍で、さらにその報道がほとんど消えている。2020年4月ではNHKの国際報道の87%は新型コロナウィルス関連のものだった。しかし、気候変動に関する報道が減少していても、気候変動が減少することはない。
また、新型コロナウィルスのような新興感染症の登場と環境破壊や気候変動の問題は切り離せない存在でもある。新興感染症の背景には森林や生態系の破壊が主要な原因となっている。新型コロナウィルスが収まったとしても、その次の新興感染症が表れるのは時間の問題なのである。人間の自然環境との付き合い方を考え直さなければ、そのリスクは高まる一方であろう。
GNVでは、これまでも気候変動問題に光を当ててきたが、この「気候報道ウィーク」の期間中、ポッドキャストやパートナー機関からの記事を翻訳して発信していく予定である。
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