壁に残された落書きを高圧洗浄機で洗い落としている掃除人。しかし、これはただの落書きではない。動物や人の姿を表す先史時代の洞窟壁画なのだ。洗い流すどころか、大切に保存しなければいけないのではないだろうか。
これはゲリラのストリートアーティストとして活躍している「バンクシー」の作品なのだ。
バンクシー自身の作品の大半は壁に残される「落書き」。市の職員などによってすぐに消されるものも少なくない。一方で、歴史を語る「アート」として大切にすべく保存される先史時代の洞窟壁画だが、実際、その大半は当時の落書きだったという調査結果もある。
そもそも「アート」とは何なのか?「落書き」とは何なのか?落書きを通して社会にメッセージを発信しようとする人の作品を消すことは「検閲」なのだろうか?バンクシーの作品にはこのような問いが含まれているだろう。
他のバンクシーの作品を見る→バンクシー・シリーズ
「歴史」として何を残すべきかについて考える→「世界史と国際報道:悪循環から脱出できるか」
(写真:badjonni / Flickr [CC BY-NC-SA 2.0])