外圧と気候への脆弱さが垣間見えた太平洋フォーラム

by | 2026年09月9日 | GNVニュース, アジア, オセアニア, 共生・移動, 環境, 農業・天然資源

GNVニュース 20269月9日

2026831日から93日にかけて18の国と地域(※1)から構成される「55回太平洋諸島フィーラム(PIF」がパラオで開催された。今回の太平洋諸島フォーラムでは、「経済構築、生命、行動、結束」を意味する「B.E.L.A.U.」(※2)というテーマの下、気候変動や安全保障、経済開発など地域が抱える課題全般について議論が交わされた。

全会一致の体制を取り、人口1.76万人 のパラオのような小さな島国であっても人口2700万人のオーストラリアのような大国に覆されないようになっているが、その意見が独立したもので、この体制が機能しているのかには疑問符がつくとの見方もある。キリバス・サモア・バヌアツは首相ではなく代理を派遣し、フィジーのシティべニ・ラブカ首相は欠席した。ソロモン諸島のマシュー・ウェール首相はパラオ到着後、本国での不信任動議を受けて帰国した。

この背景には中国や台湾、アメリカなど、PIFの加盟国ではない国々の対立が太平洋で現れていることが指摘されている。首相を派遣する代わりに本フォーラム後に出される公式声明文への完全な合意権限を持たない元駐中国大使の外務省官僚を派遣したキリバスは、中国が202676日にミサイルを発射した際に太平洋諸国から発せられた共同非難声明の合意を妨げている。また、開催国パラオと公式な外交関係を有する台湾が今年のPIFに招待されたことに対し、中国特使チエン・ボー氏は「深刻な懸念」を伝え、「結果が伴う」と述べている

こうした対立の中、議論が進められるべき、太平洋諸国が直面する気候危機も明らかになっている。太平洋共同体(SPC)の試算によれば、魚の生息域移動により太平洋諸国では沿岸漁業の漁獲量が2050年までに最大65% 減少し得るとされ、これは一人当たり年間29kgの魚の減少、家庭あたり週2食分に相当するとされている。ツバルでは、現在100年に1度とされる規模の洪水が2050年までに10年に1の頻度になると見込まれている。

最終的な合意文書では気候行動の加速を掲げる宣言が採択され、資金支援の追加拠出も表明されるなど一定の前進はあった。しかしオーストラリアの化石燃料事業拡大への明確な批判は避けられ、踏み込み不足との指摘もある。結束を掲げて始まった会議は、大国の圧力と迫りくる気候危機に揺さぶられる太平洋諸島の脆さを示した。

※1 オーストラリア、クック諸島、ミクロネシア連邦、フィジー、仏領ポリネシア、キリバス、ナウル、ニューカレドニア、ニュージーランド、ニウエ、パラオ、パプアニューギニア、マーシャル諸島共和国、サモア、ソロモン諸島、トンガ、ツバル、バヌアツ

※2 Building Economies: Life, Action, Unity

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PIFでの太平洋首脳による気候対話(写真:Masato Kanda / Flickr [CC BY 4.0])

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