貧困率が高く、高所得国から搾取されてきた国々を指す「グローバルサウス」。1960年代から使われているラベルだが、近年、政府やメディアの発信で頻出するようになった。
グローバルサウスは世界の南半球、グローバルノースは北半球の国々が構成すると一見見えるかもしれないが、そう単純ではない。オーストラリアやニュージーランドのように南半球に位置するグローバルノースの国もあれば、南アジア諸国のように北半球にあるグローバルサウスの国もあるためだ。この言葉には確かに地理的な側面はあるが、歴史、政治、経済上の現状と、ノースとサウスの国々の関係性を表している。
では、グローバルサウスとグローバルノースの境界線はどこで引くことができるのだろうか。1977年に世界銀行で南北問題に関する独立諮問委員会が設立され、西ドイツのウィリー・ブラント元首相が長に任命された。同委員会は1980年に報告書を発表し、そこに世界地図にグローバルサウスとグローバルノースを分ける「ブラント・ライン」(Brandt Line)が描かれた。
グローバルサウスの国同士における格差が大きく、国内における格差が激しい国もある。また、グローバル化で、国境とは関係なく、経済活動などが世界各地で複雑に絡み合っている。そのため、このような単純化されて境界線はどれほどの意義があるのか問う声もあるが、現在も幅広く使わている。
グローバルサウスについてもっと知る→「『グローバルサウス』がなぜ頻出するようになったのか?」
(写真:Jovan.gec / Wikimedia [CC BY-SA 4.0])