高く険しくそびえる山々。中央の切り立った山の尾根には、石造りの家々が並び、その下には段々畑が広がっている。イエメン北西部に位置するハラズ山脈だ。
コーヒーはこの地域で初めて栽培されたとされている。山に点在する段々畑から紅海に面した港にコーヒー豆が運ばれ、海外に輸出されてきた歴史は長い。ここで栽培されるモカコーヒーの貿易の多さから、「モカ港」と名づけられた。
しかし、2014年にイエメンで発生した武力紛争により政府が倒れ、バラズ山脈はフーシ勢力の支配下におかれた。翌年にはサウジアラビアが率いる連合が侵攻し、港を含めイエメンを事実上封鎖した。これにより、モカコーヒーの貿易が難しくなった。またこの紛争とサウジアラビアよる陸海空の封鎖によって、イエメンは世界最大級の人道危機に陥った。
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(写真:Rod Waddington / Flickr [CC BY-SA 2.0])