以下の動画は、アメリカのCBSニュースのマーク・フィリップスと、ザ・ネーション誌のマーク・ハーツガード、によるアントニオ・グテーレス国連事務総長に対するインタビューである。 このインタビューは、「気候報道を今」(Covering Climate Now)の一環として行われた。「気候報道を今」とは、報道機関を対象に、気候危機の規模に相応するレベルの報道の必要性を訴えるグローバルな運動である。GNVは「気候報道を今」運動のパートナー組織として、この映像を共有するができ、今回、日本語字幕をつけることにした。
今回のインタビューで、グテーレス国連事務総長は、気候危機に対してさまざまなレベルでの連携を通じて、本格的な対策を取ろうとしていない各国政府にプレッシャーをかける行動を呼びかけたことが印象的であった。
世界がいかに危機的な状況にあるのか、対策においてはいかに遅れをとっているのかを、インタビューを通して事務総長は強調した。例えば、増え続けている温室効果ガスの排出量や、記録的な世界の平均気温、2015年のパリ協定で設定した基準に達する気配を見られていないことなどを取り上げた。また気候変動により、バハマを直撃したハリケーン「ドリアン」やアフリカにおける干ばつといった自然災害はより頻繁に起きるようになったことと、甚大化するこのような自然災害に伴う死者の増加や、壊滅的な被害が生じていることも述べた。
しかし、希望を持ち続ける必要性も訴えた。パリ協定はうまく実行されていないとしても、軌道に乗せ、達成する時間がまだあると主張した。また、若者、非政府組織、企業、都市などによる積極的な運動や、中国やインドなどでの太陽光発電事業の拡大、小国による二酸化炭素排出を削減する努力などの取り組んでいることにも希望を見出していた。現在、これまで以上に、気候緊急事態へのアプローチは、グローバルなものでなければならないという意識が世界中に広まっていると述べた。
最終的にこの危機的な状況を緩和するために、グローバルな規模でさまざまなレベルでの抜本的な改革が必要であるが、少しずつその方向に動き始まっているのではないかという希望が伝わるインタビューであった。
(写真:インタビューを受けるアントニオ・グテーレス国連事務総長)