駐車禁止の標識に向けて銃口を向ける少年兵。その銃からは弾帯がぶら下がっているように見えるが、よく見ると、クレヨンだ。まわりには、色とりどりに描かれた花畑、鳥、太陽。まるで少年がそのクレヨンで描いたかのような柔らかなタッチで、戦争のイメージからかけ離れ平和なイメージすらもたらす。
アメリカのロスアンゼルスの路地裏の壁に描かれたこの壁画は、ストリートアーティストとして活躍している「バンクシー」によるものだとされる。駐車禁止地区での駐車や落書きは、ルール違反だ。また、次元が遥かに違うものの、戦争においても、子どもを兵士に動員することは同様にルール違反。世界には、無邪気に絵を書いたり、学校で学んだりすることもできず、武力紛争に巻き込まれている子どもが大勢いる。バンクシーはそのようなメッセージを伝えたかったのだろうか。
子どもらしい生活はもとより、教育を受ける機会をも奪う武力紛争は、現在も世界各地で繰り広げられている。SDGs(持続可能な開発目標)は近年注目されているが、こうした状況下、 SDGsの目標に含まれる「教育」(ゴール4)や「平和」(ゴール16)に関する目標は、果たしてどれほど注目されているのだろうか。
SDGsへの注目度についてもっと知る→「SDGsはどのように報じられてきたか」
紛争と子どもの関係についてもっと知る→「世界の子どもの実態と報道の差とは?」
バンクシーの他の作品を見る→バンクシー・シリーズ
(写真:Lord Jim / Flickr [CC BY 2.0])