近年の気候変動はまさに異常であり、我々人類にとって最も深刻な課題の一つである。それにもかかわらず、気候変動についてのメディアの報道量は、気候変動の重大性に見合っていないのではないかという懸念を示さざるをえない。メディアは、大衆に対して事実を伝えるだけでなく、ある危機的状況に対して注意を喚起したり、警鐘を鳴らしたりする能力を持っている。報道量の不足は、気候変動を間接的に加速させてしまいかねない。
そのような事態を危惧し、2019年に複数の報道機関によって、「気候報道を今」(Covering Climate Now)という国際運動が興った。2024年4月現在、60を超える世界各国から500以上の報道機関がこの運動に参加している。GNVも設立当初以来のパートナー機関としてこの運動に加わっており、気候変動について積極的な報道活動を行っている。
今回、GNVでは、ニュースメディア「ザ・カンバセーション(The Conversation)」より、食糧と気候変動の関係性について取り上げた記事を計3つ紹介する。1つ目は、クリス・ワイバー氏の「フルーツボウルから知る気候変動」である。この記事は、気候変動が果物の成熟や収穫に与える影響について解説している。2つ目は、ジェシカ・ボックスオール氏、マイケル・ヘッド氏の「気候変動は世界各地の気温だけでなく、食料の価格も上昇させる」である。この記事は、気候変動が食料の価格を上昇させ、それが食糧難を引き起こしている、という問題について解説している。そして3つ目は、フィリップ・コフィ・アドム氏の「気候変動:アフリカ全土で農作物による収入が30%減少、5,000 万人が水不足に陥ると警鐘を鳴らす」である。この記事はアドム氏に行われたインタビューをもとに、気候変動に対して脆弱であるアフリカを例に、気候変動が人々にもたらす影響について解説している。
我々は、食糧の存在無くして生きていくことはできない。これら3つの記事を通して、気候変動が、我々の生活に欠かせない食糧に危機的とも言えるほどの影響を与えていることを実感するきっかけになれば、幸いである。
目次
フルーツボウルから知る気候変動
《ザ・カンバセーション(The Conversation)の翻訳記事、クリス・ワイバー氏(Chris Wyver)著(※1)》
2021年3月26日、京都では桜が満開となり、華やかな春が訪れた。これは、西暦812年から1,200 年以上にわたって毎年記録されてきた中で、最も早い開花日となった。
その原因は気候変動にある。冬はより湿潤で、春はより温暖になってきたことに加えて、天候がますます移り変わりやすくなったことで、様々な種類の果樹の開花時期が早まっている。
開花日が早まると、日本で有名な桜の花を一目見ようとしていた人たちの旅行計画が台無しになるかもしれないが、世界中で4,000 万ヘクタール以上の果樹園を管理する人たちにとっては、彼ら以上に頭の痛くなるような話である。
果樹と気候は複雑な関係にある。冬の時期、樹木は冬眠状態を脱して成長を再開するために、寒い気候の期間(蓄冷と呼ばれる)を必要とする。その後、春に花を咲かせるために必要な暖かい気候の時期(蓄熱と呼ばれる)が続く。
必要な寒暖それぞれの期間は、果実や品種によって異なるが、どちらかが満たされないと果実の収穫量や品質が損なわれてしまう。
平均気温が上昇し、季節による気温の変動が大きくなり、熱波や寒波の頻度や厳しさが増し、かつては安定していた季節のサイクルが乱れてきたことで、果樹は大混乱に陥っている。
そのような暖冬の傾向にもかかわらず、ヨーロッパや北米のような温帯地域では、多くの果樹が依然として問題なく蓄冷の必要条件を満たしている。しかし、春がより暖かくなったために、果樹が蓄熱の要求を早く満たすようになっている。
その結果、リンゴ、ナシ、サクランボ、プラム、アプリコットの開花が早まる。場合によっては2週間も早まることもある。
購入できる果物の品質と手に入れやすさによって、その変化を最も顕著に感じることができるだろう。ここでは、季節のサイクルがズレてしまうことによって、フルーツボウルの中身がどのように変化するかについて紹介していく。
開花が早まると、果物にどのような影響を及ぼすか
開花時期の変化は、果物の収穫時に大きな影響を及ぼす。
専門家たちは、開花の時期が早まっている地域では、デリケートな花がそれらの花にとって有害な霜にさらされるリスクが高まると警鐘を鳴らしている。開花時に比較的短時間の寒波に見舞われただけでも、果物の生産は壊滅的な打撃を受ける可能性がある。実際、2017年4月に一晩霜が降りただけで、ヨーロッパにおけるリンゴの収穫量は24%減少し、洋ナシの生産量は12%減少した。
また、多くの果樹は自家不和合性(※2) という特徴を持っている。これは、その果樹と同じ個体からは受粉せず、実をつけるためには別の品種からの受粉が必要になる、ということである。この受粉の仕組みは昆虫、特に野生のミツバチによく見られるが、筆者は 博士課程の時期に、気候が野生のミツバチのライフサイクルのタイミングにも影響を与えていることを発見した。
ミツバチと花は、気候変動に対してそれぞれが異なる反応を見せるため、ミツバチの中でも、果物の花の受粉に適した時期とは異なる時期に活動する種類もいる。受粉を媒介する昆虫の数が少ないと、コストがかさんでしまう。イギリスのレディング大学の研究では、昆虫の受粉媒介者が極めて少ないと、リンゴの品種の一つであるガラリンの生産が年間で570万ポンド(730万米ドル)分、失われると推定されている。
受粉が十分に行われないと、収穫量が減り、乾物含量(糖度と食味を表すことに向いた指標)を変化させ、果実中のカリウムとカルシウムの比率が低下してしまう。
開花時期が早まると、果物の味も変化する。日本のリンゴの品種である「ふじ」と「つがる」を調査したところ、酸の濃度が下がり、可溶性糖が増加した結果、より甘い果実になるという結果を示した。温帯地域では、むしろこのような変化が果実の品質にプラスに働く可能性が、このような初期の段階の兆候から示唆されている。
しかし、地中海沿岸やアフリカ北部、ブラジルなど、すでに温暖だと考えられている地域では、果樹園で寒い気候を十分に確保できないため、生産者は異なる課題に直面している。
すなわち、果樹が蓄冷するようになる寒さにまで至らない可能性があるということであり、その結果、果樹の成長が遅くなり、生産量が低下してしまう。イギリスでは、2022年、リンゴと洋ナシの18.5%を輸入に頼るといったように、気候変動の影響を受けやすい国から、今まで以上に多くの果物を輸入している。
南アフリカやブラジルもこれらの国に含まれている。南アフリカやブラジルではすでに、寒いと言われる日は冬でさえ限られており、今後の気候条件によっては、さらに寒い日は限られると予測されている。寒冷な環境をかなり必要とする既存品 種は、「グラニー・スミス」や「ピンク・レディー」のような寒冷な環境をそれほど必要としない品種に取って代わられざるを得ない状況になり、結果としてイギリスの果物売り場にはそれらの品種ばかりが並ぶことになりうるだろう。
気候変動が及ぼす影響に 対して脆弱であると分類されていない国においても、果樹園を存続させるためには、農家が栽培する品種や果実について広範な変更が必要になるかもしれない。つまるところ、21世紀末までには、カリフォルニアのアプリコットやモモの多くの選択育種(※3)である品種 では、蓄冷の基準を達成できなくなると予測されており、収穫量の劇的な減少を促し、作物の選択を大きく変えることになる。
難航する果物の収穫事情
果樹園に変化が起これば、必然的にスーパーマーケットの品揃えも変化する。イギリスでは、「ピピン」や「ノンパレル」 のような、少なくとも500年ほど昔からイギリス国内 で栽培されてきた伝統的なリンゴの品種は、「フジ」や「ガラ」 のような、より温暖な気候に適した品種に取って代わられる可能性が高いと専門家は警鐘を鳴らしている。
そう遠くない将来、気候変動がこのまま進行すると、自身のお気に入りの果物の品種が値上がりしたり、あるいは単にその品種が手に入らなくなったりするかもしれない。
開花日の変化や、それが果実の収穫量や品質に及ぼす影響を解明するには、多くのデータが必要であり、往々にして大学や園芸試験場の研究者たちが丹念に収集している。スマートフォンが登場し、写真の共有が可能になったことで、一般の人々もこの重要な研究分野に参加できるようになった。
イギリスのレディング大学のプロジェクトである「フルーツウォッチ」 やアメリカの「ブルームウォッチ」プロジェクトは、果樹が開花した場所と日時の記録を提出するよう一般市民に協力を呼びかけている。市民 が協力することで、気候変動下で果樹が開花する時期を科学者が予測しやすくなる。また、果物の生産者が、気候変動によって自身の生計が脅かされるリスクを早期に予測するための重要なシステムを提供するのにも役立つ。
気候変動は世界各地の気温だけでなく、食料の価格も上昇させる
《ザ・カンバセーション(The Conversation)の翻訳記事、ジェシカ・ボックスオール氏(Jessica Boxall)、マイケル・ヘッド氏(Michael Head)著(※4)》
ドイツの研究者が行った新たな研究によると 、気候変動、特に気温上昇によって、食料の価格が年間で3.2%上昇する可能性があるという。気候変動が悪化の一途をたどる中でこのような価格高騰が起こるということは、種類に富んだ健康的な食生活を送れなくなる、もしくは単に食料が不足するという状態に陥る人々が世界中で増えることを意味する。
新たな分析によれば、地球温暖化が原因で、2035年までに食料 の価格のインフレ率が、年間で0.9~3.2パーセントポイント上昇する可能性がある。同じ温暖化でも、全体としてのインフレ率の上昇幅は、気候変動を原因とするものよりも小さい(0.3~1.2パーセントポイント)ため、この場合、家計収入のうち、食料品の購入に使われる割合がより大きくなる。
この影響は世界中に及ぶことだろう。高所得国も低所得国もともに影響を受けるが、特にグローバル・サウスはその影響を強く受ける。気候変動がもたらすその他の様々な影響と同様に、アフリカは気候変動の原因にはほとんど寄与していないにもかかわらず、その影響を最も被ることになるだろう。
価格のインフレが実際はどのような意味を持っているのか、それは、西アフリカのガーナにおける食糧安全保障に関する我々の調査から知ることできる。気候変動に関する政府間パネル (IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)は、極端な気温上昇と降雨量の減少が予測されるモデルを呈した上で、西アフリカを気候変動の 「ホットスポット」 と位置づけている。ガーナの人口の半数以上が天然の雨に依存した農業を行っており、ガーナは気候変動の影響を特に受けやすい国である。
我々は先日、同国北部のミオンと呼ばれる農村地区で調査を行った。およそ400人に話を伺ったところ、その全員が過去12カ月間にある程度の食糧難を実感したと答えた。そのうち99%もの人が、少なくとも気候変動がその一因であると回答した。
また、回答者のうち62%が中度または重度の食糧不足、そしてそのうち 36%が重度の 食糧不足(丸一日食べ物がない状態)を経験しているという。これらの割合は、ガーナの全国平均(それぞれ39%、6%)よりはるかに悪い数値を示しているが、これらはトーゴ、ブルキナファソ、ベナンといった西アフリカの最貧国の数値と比較すると、ほぼ同じである。
我々は隣国ブルキナファソから国境を越えてガーナの北東部(?)に逃れてきた難民にも同様の調査を行った。ここでも、回答者全員が食糧難を経験していたことが分かった。
しかしながら、 ミオン地区は突然の飢饉に苦しんでいるわけではなく、この食糧難が引き起こされるような特別な異常事態が起きているともいえない。むしろ この状況は、気候変動の影響による「通常の現象」だと考えられている。
気候変動による食糧インフレは、相互に密接につながった 2つの問題に分けることができる。
移り変わる季節、害虫、病気
1つ目の問題は、気候変動はインフレを引き起こしているのに並行して、すでに食料を入手しづらい状態を生み出しているというものである。例えば、気温の上昇は、農業従事者の中で長い時間をかけて定着し、そして予測可能であった農作業の時期をずらす原因となるため、農作物の生産に支障をきたす可能性がある。
その他の影響としては、家畜や食料を枯渇させる害虫や病気が発生しやすくなることや、すでに貧弱な道路に熱によって歪み、農村共同体へのアクセスが困難になることなどが挙げられる。
これらすべての要因が物価を押し上げ、その影響を受ける世帯の購買力を低下させている。食料の価格インフレの要因は、すでに食糧難問題を悪化させているのである。
そして2つ目の問題は、インフレ率の上昇である。物価が年間で3%上昇すると、家計 は必要なものを購入できなくなってしまう。
それにより、購入にあたって、食品の質や、ひいては文化的重要性にさえ妥協しなければならなくなる可能性が高い。その結果、人々は病気やその他の健康問題にかかりやすくなる。栄養不良は、世界的に免疫不全の主な原因となっている。
ガーナでは、正式な教育を受けている人は極めて少ないにもかかわらず、気候変動に関する知識が豊富であるほど、食糧の安全がより保障されている ことがわかった。これは、気候変動の影響を受けた人々が気温の変化や気候の予測が難しいことを強く認識するようになり、おそらく積極的に緩和策に取り組んでいる証拠である。
学校教育を受けていない人々は、農業を代表とする気候変動の影響を受けやすい職業に従事する可能性が高いため、より直接的な影響を受けることになる。気候変動に関する教育を施すことで、気候変動に適応する能力が生まれ、食糧安全保障が促進するかもしれない。
気候変動は、脆弱な暮らしが定着してしまっている人々の飢餓のリスクを倍増させる。このことを踏まえ、COP28 (※5)では、気候変動に対応し、すべての人が十分な食料を確保できるよう、食料システムを気候変動対策に組み込む、という宣言に134カ国が署名している。
この新たな研究に携わった研究者らは、温室効果ガスの排出を削減することで、気候変動が世界経済に及ぼす影響を抑えることができると示唆している。また、多様な経済システムを確立することができれば、食料と収入の両方を農業に依存しているという現状の地域社会をある程度保護することが可能だろうと提言している。
気候変動:アフリカ全土で農作物による収入が30%減少、5,000 万人が水不足に陥ると警鐘を鳴らす
《ザ・カンバセーション(The Conversation)の翻訳記事、フィリップ・コフィ・アドム氏(Philip Kofi Adom)著(※6)》
世界開発センター(Center for Global Development)の新たな研究によると、地球温暖化を2℃以下に抑えられなければ、アフリカ諸国は2050年以降、大きな経済的損失を被ることになるという。
環境・エネルギー経済学者のフィリップ・コフィ・アドム氏は、この報告書の著者である。彼は、気候変動学者や研究者たちによる長年の研究を統合し、その結果、将来、西アフリカと東アフリカが最悪の状況に陥りうることを発見した。我々はこの調査結果についてアドム氏に尋ねた。
気候変動の影響によりアフリカの農作物収入が30%減少する、という予測が明らかになりましたが、人々に対してはどのような影響を与えるのでしょうか?
気候変動がこのまま続くと、アフリカにおける農作物の生産は、2030年には2.9%、2050年には18%減少してしまいます。そして2050年までに約2億人が極度の飢餓に苦しむというリスクがあります。農作物収入が約30%減少すると、気候変動が起きない場合に比べて、貧困率が20%~30%増加する考えられています。
気候変動によって農作物の生産が減少すると、品薄によって価格は上昇しますが、販売量は落ち込むことになります。これが、先ほどの貧困率上昇が起こる仕組みです。
アフリカでは、労働者階級の42.5%が農業部門に従事しています。彼ら(ほとんどが農村部の)の収入は減少することになるでしょう。そもそも農村部に住む人々の貧困率は高く、アフリカの貧困層・最貧困層のほとんどは農村部に集中しています。農業部門の衰退は、より多くの人々を深刻な貧困に追い込む可能性が高いとされています。
さらに、アフリカ は食料安全保障の問題にも直面し、農業部門で働く人々は職を失うリスクにも直面することになるでしょう。農作物を栽培するための灌漑システムを持たない地方の農家たちは、自然の雨のみに頼っているため、彼らは最も貧困に苦しむことが予 想されています 。
報告書によると、アフリカ全体の国内総生産(GDP)が長期的に見ると、7.12%減少すると予測していますが、この減少はどのような影響を与えるのでしょうか?
報告書での「長期」 というのは、2050年以降のことを指しています。GDPは、ある時点における経済の富の状態を表す指標です。富が創出されることによって企業が興り、雇用が創出されます。それから、徴収された税金はインフラ投資、社会サービスへの投資、健康保険や失業保険といった社会的支援の提供に充てられます。気候変動が現在のペースで続くとすれば、GDPが7.12%減少すると 、経済におけるこうした富の創出機会に深刻な影響を与えることになるでしょう。
国規模の予測では、アフリカで最も影響を受けている地域では、長期的には11.2%~26.6%の大変大きな経済損失がある と示唆されています。経済規模が縮小すれば、ビジネスの幅が縮小し、特定の雇用が喪失し、新たな雇用が創出されなくなる危険性があります。
なぜそれほどGDPの減少が恐れられているのでしょうか?それは、そう遠くない将来、 アフリカ大陸の人口は20億人を超えると予測されているからです。アフリカは、世界で最も若年層の人口が多い大量です。そのため、アフリカの経済が縮小することにより、アフリカの若者たちはどこで生活の糧を得るのだろうか、という大きな懸念が生じることになります。
報告書によると、5,000 万人のアフリカ人が水不足に陥りうるとありますが、これはすなわち何を意味するのでしょうか?
これは、家庭や産業における深刻な水不足のことを意味しています。例えば、水の供給量が大幅に減ることにより、一日中水を使うことができていたそれまでの生活とは裏腹に、従来の水の必要量を満たすことができなくなってしまいます。これは需要と供給の問題です。水資源に対する需要は高まっていく一方で、水資源の供給は不足するため、水の価格は高騰することになるでしょう。今後、一切の策を打たなければ、アフリカ全土の水は極めて高価なものになるでしょう。
気候変動への適応策と緩和策は、この惨事を回避するのに有益なものであると言えるでしょうか?
気候変動について語る際、コミュニティや集団行動について語られます。自明であることとして、政府が大きな役割を担っています。政府は、気候変動への適応策と緩和策 に関する民間のイニシアチブを直接支援する、あるいはそのインセンティブを創出することによって、必要とされる変化への取り組みを促さなければなりません。
適応策と緩和策 のための試みはどんなに微々たるものであっても有益です 。小さな取り組みであっても協調しながら行われることで、その成果を期待することができます。個々の家庭や企業でもできる取り組みは数多く存在しています。例えば、肉や乳製品の消費量を減らしたり、可能な限り徒歩 や自転車、公共交通機関を利用するなど、交通手段を変えたりすることができるでしょう。家庭では省エネの取り組みが可能です。それから、自然豊かな緑地は尊重され、保護されなければいけません。
銀行を利用している人は、責任ある投資を行っているかを確認すべきです。銀行の投資先を知ることは常に重要なことです。もしもそれが気候変動に配慮したものでないとすれば、顧客や取引先はそれについて異議を唱えることができます。
アフリカの指導者たちはどのように動いていくべきでしょうか?
気候変動は現在も進行しており、まさに差し迫った環境危機です。幸いなことに、想像もできないほどの非常事態が起こる前に、何かしらのアクションを起こす機会が残されています。私は、アフリカの指導者たちが、気候変動とその緩和に積極的に取り組むことを強く望んでいます。農業部門はアフリカのほとんどの国の経済にとっての大黒柱であり、気候変動はそれに重大な危険をもたらしかねません。我々がまさに今行動を起こさなければ、気候変動は、経済的に困窮した状態を永続的に生み出してしまうかもしれません。
※1 この記事は、GNVがパートナー組織として参加する「気候報道を今」(Covering Climate Now)の同じくパートナー組織であるザ・カンバセーション(The Conversation)のクリス・ワイバー氏(Chris Wyver)の記事「What your fruit bowl reveals about climate breakdown」を翻訳したものである。この場を借りて、記事を提供してくれたザ・カンバセーションと著者のワイバー氏にお礼を申し上げる。
※2 自家不和合性:自身の個体の花粉とそれ以外の個体の花粉を識別し、自身の個体以外の花粉とだけ交配するという仕組み。自身の個体同士で交配することを避けることで、種の遺伝的多様性を維持することができる。
※3 選択育種:有用な形質をもつ個体や集団を選抜し、それらの中から継代的に選抜を繰り返し行うことで、形質の改良を目指す育種法の1つ。
※4 COP28:「COP」とは温室効果ガス(GHG)の排出削減目標や気候変動への対策について各国の代表が一同に介して議論を行う「国連気候変動枠組条約締約国会議(Conference of the Parties)」の略称であり、「28」は今回で28回目の会議であることを表している。2023年11月30日から12月13日にかけて、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイにて開催された。この会議では、2015年のCOP21で採択されたパリ協定において掲げられた目標の達成に向けて、世界全体の進捗状況を評価する「グローバル・ストックテイク(GST)」と呼ばれる取り組みの実施が最大の焦点となった。
※5 この記事は、GNVがパートナー組織として参加する「気候報道を今」(Covering Climate Now)の同じくパートナー組織であるザ・カンバセーション(The Conversation)のジェシカ・ボックスオール氏(Jessica Boxall)、マイケル・ヘッド氏(Michael Head)の記事「Food prices will climb everywhere as temperatures rise due to climate change – new research」を翻訳したものである。この場を借りて、記事を提供してくれたザ・カンバセーションと著者のボックスオール氏とヘッド氏にお礼を申し上げる。
※6 この記事は、GNVがパートナー組織として参加する「気候報道を今」(Covering Climate Now)の同じくパートナー組織であるザ・カンバセーション(The Conversation)のフィリップ・コフィ・アドム氏(Philip Kofi Adom)の記事「Climate change: alarming Africa-wide report predicts 30% drop in crop revenue, 50 million without water」を翻訳したものである。この場を借りて、記事を提供してくれたザ・カンバセーションと著者のアドム氏にお礼を申し上げる。
ライター:Chris Wyver, Jessica Boxall, Michael Head, Philip Kofi Adom
翻訳:Ikumu Nakamura