2022年の「人種差別撤廃のための国際デー」(毎年3月21日)に合わせてイギリス、ロンドンで行われたデモの様子だ。「全ての命が大切だ」、「全ての難民歓迎」といったスローガンが掲げられている。
このデモの約1ヶ月前にロシアがウクライナに侵攻し、西側諸国はウクライナからの難民を多く受け入れ、生活支援などを与えるようになった。しかし、同じように戦争から逃れようとするイエメン人、シリア人、エチオピア人などの難民に対しては以前として閉鎖的な対策を講じ続けている。ウクライナ難民だけが優遇されるというダブルスタンダードの背景には人種差別があると主張するデモとなった。
しかしこのようなダブルスタンダードは各国政府の政策だけにみらるのではなく、各国社会の情報環境にもみられる。国際報道において、ウクライナ難民の現状が大きな人道問題として強調されているが、アフリカや中東からの難民問題そのものが注目されないという現状がある。その背景にも人種差別がひとつの要素としてあるのだろうか。
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(写真:Alisdare Hickson / Flickr [CC BY-SA 2.0])